2013年10月03日

青空と雪原と、笑顔。[南極料理人]

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『南極料理人』
製作:2009年・日本
監督:沖田修一(『キツツキと雨』『横道世之介』)
脚本:沖田修一
出演:堺雅人、生瀬勝久
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DVDで鑑賞しました。初めて観たのは3年前。
久々にディスクを見つけて、ああ観たいなと思い、ディスクIN。

ずいぶん前に見たのに、ふと思い出す映画ってあるじゃないですか。
本作は私にとって、そういう映画の代表格です。
公開時に映画館で見れなかったので、その後悔が未だにあるくらい、好きな映画です。

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南極観測隊員のひとりである西村淳(堺雅人)の任務は、
南極大陸のドームふじ観測拠点(標高3810 メートル)で
越冬する隊員8名分の食事を用意することだった。
西村は限られた食材と特殊な環境の中、
隊員たちを飽きさせないメニューを作るために奮闘する。
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南極の基地常駐の観測隊(??)のオジサン達の一年間を、調理担当者目線で描いた作品です。
日常系というのか、ロードムービーというのか、まあ、そんな感じです。
でも、全く退屈ではありません。

オムニバスっぽいので、「刑務所の中」とよく似てるな、と当時は思いました。
全編通してひとつひとつのエピソードに、笑いが散りばめられていて、それがとても心地良いです。
エピソードも、1つ1つ丁寧に描かれてているので、もっと軽いかなと思ってたら、意外と濃厚な2時間。
脚本も演出もよく出来ているし、何よりも映画全体の空気感がとても良いです

ペンギンもアザラシも居ない、菌さえも生存できない過酷環境の映像と、
うってかわって基地内の、何ともユルい日常風景。
その映像ギャップが、良い感じに映画を単調にせずに見せていると思いますし、
何よりも、私達一般人にとっての非日常だからこそのエピソードが興味深いし、飽きない。

そもそも原作がエッセイなので、ある程度のリアリティは当然のこととして、
一見すると単調なルーティンワークの中で、少しでも楽しみを見つけながら、
人とは少し違う日常を一生懸命過ごしている姿が、とても魅力的です。
『ここが電車で通えるところならいいのに…。』というセリフには、
やりたいことと現実のギャップに苦しむ現代社会人すべてに通じる葛藤が描かれているように思いました。


そんな本作の中で、 南極での観測業務には直接関係ないけれど、
生活必需品的な調理担当者は、その存在がまるで空気のように描かれています。

食事タイムがメインな映画なのに、誰ひとり『美味しい。』とは言わない。
『飯食いに南極に来てる訳じゃないからさー。』とか、無神経なことも言われる。
それでも、毎回の食事は抜群に美味しそうで。
いつも笑顔で、時には困った顔で、料理人はみんなの食事を見守るんです。

ただ、彼にも色々と思うところがあって後半ボイコットするんですが、
その後の『西村君、おなか空いたよ…。』と言われるシーンからの下りがとても素敵で、
最後の団欒シーンは、完全に家族に模した風景になっています。
お父さんが居て、おじいちゃんが居て、息子達が居て。もちろん西村料理人は、お母さん。割烹着がよく似合います。
お互いにぶつかり合いながら、次第に家族になっていくんですよね。


あと料理について凄いなあ、と思ったのは、
限られた食材で赴任期間の食事を賄うための創意工夫をしていること。
メインはラーメンの下りでしょうが、目つきが違ったよね、みんな。
表現が上手いなあ、と思いました。
(あれが事実ならば、調理担当者のスキルってすげーな、と。)


全編通して相当すきなんですが、中でも一番好きなのが序盤。
青空と一面の雪原が対比する美しい風景の中、
鮮やかなオレンジ色の防護服を着た、オッサン自転車2人乗り。
『本日のお昼ゴハンはおにぎりです。温かい豚汁も用意しています。』
…選挙カー!!!か、という笑いどころのシーン。
おにぎりの具材を、当たり目まで丁寧に説明してくれるんですが、
それに群がって走って来る、これまたオレンジ防護服のオッサン達。
この映画で一番可愛いシーンだなあ、と思いました・


主演の堺雅人は良いですね。
人畜無害そうな笑顔でさらっと毒を吐いたりする感じが素敵です。かなり好きです。
東京オレンジの頃は顔しか知らなかったけど、
いまや映画やドラマでは、欠かせない存在ですよね。
それほど演劇出身な感じがしないし、どちらかと言うと憑依型なのに穏やかな雰囲気も持っているから、
映像畑での主役としても違和感がないんでしょうね。

彼が注目され始めたのは大河「新撰組」の山南敬助です。
歴女ではないながら、新撰組には思い入れがある私の微々たる知識の中で、
山南氏は見せ場のある人ですよね。さりげなく副長だしね。
それを上手く演じたのだろうな、と思うと観てみたくなるなあ、「新撰組」。

ちなみにどうでもいいですが、この映画の堺雅人、個人的にどストライクです。
最初から良いんだけど、後半の伸びっ放しのロン毛さえも良い。
出演作の中で、一番好きですね。この役。

他のキャストも、お世辞抜きで、全員良かったです。
生瀬も、きたろうも、豊原功輔も、高良健吾も、すごく良かった。
あと、名前は知らないけどよく見る、他隊員の役の人(調べろや。)も。
堺雅人の娘役の子もうまい。息子も可愛かったし。西田尚美なんて最高です。

何度観ても、ほめちぎるコトしか出来ない映画なので、まだ見てない人は是非。
私は、2時間ずーーっと、ニヤニヤしながら観てましたよ。
posted by tanako at 22:16| やっぱり邦画がすき。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月24日

それ、何語??[ミロクローゼ]

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『ミロクローゼ』
製作:2011年・日本
監督:石橋義正(『オー!マイキー』)
脚本:石橋義正
出演:山田孝之、マイコ、石橋杏奈 他
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『凶悪』という映画が公開になりました。

先日、初日舞台挨拶のチケットを取った私は、
前日までに山田孝之の勇姿を1作でも多く観ておきたくて、
未見のまま公開終了してしまった『ミロクローゼ』を鑑賞。
(ちなみに相方は、『クローズZERO』で気持ちを高めていたらしい。そっちが正解だった…。)

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少年のような容姿のメルヘンチックな男性オブレネリ ブレネリギャー(山田)。
ある日、公園で出会った美女“偉大なミロクローゼ”(マイコ)にひと目ぼれ。
彼女への愛に突き動かされ、平凡だった彼の生活が一変する。
毒舌でならす青春相談員の熊谷ベッソン(山田)。
純情青年のピュアな悩みにも、激しい罵倒とハイテンションなダンスで解決へと導く。
一方、花屋で働く美女ユリ(石橋)に心奪われた片目の浪人、タモン(山田)。
謎の盗賊団にさらわれた彼女を取り戻すべく、時空までをも超えて壮絶な流浪の旅を続ける。
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感想?

んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

ないっす。

だって、中身がないんだもん。
1時間半のPVを観ている感じでした。

いきなり出てきた主人公の名前が『オブレネリ ブレネリギャー』ですよ。
早速ついていけなくなっちゃって。

熊谷ベッソンの下りは、それでもダンスとか、セリフとか、そこそこ楽しめたけど、
やっぱり中身はなかったし。

多聞の下りは、一番分かりやすかったけど、
見せ場の殺陣シーンは、孝之はカッコ良かったけど、スローの使い方が微妙だったのと、
そもそも尺が長くて、途中で飽きました。


『ミロクローゼ』が女性を表す言葉だとして、
女性に狂わされた3人の男性の恋愛映画、とでも言いましょうか。
狙うところとしては『500日のサマー』とか『恋愛睡眠のすすめ』的なオシャレ映画でしょうが、
如何せん私には、中身が理解不能でした。

それと、マイコさんが私の好みではない、というのも、映画の印象に影響していると思います。
でも石橋杏奈ちゃんは、コント番組『LIFE』ではあまり思わなかったのですが、
遊女役のときが抜群に美しかったです。

ああ、あとは、エンディングがONE OK ROCKの『LOST & FOUND』でしたが、
作品と合ってたようには思えなかったし、最後の方はもう何か頭がボーっとしていたので、
「やっぱりいい曲だなあ。。。」くらいしか感想が出てきませんでした。
でもワンオクすきなので、曲のチョイスで少し評価UP。


『オー!マイキー』のシュールな世界が理解できなかった私ですから、まあ仕方ないかなと諦めました。
そういう意味では、山田孝之のベッソンの演技と、多聞としての殺陣だけで、お腹いっぱいです。
事実、山田孝之自身「自分の出ている作品の中で一番見るのが辛い」と言っている、というのを読んだので、
孝之への敬意を表し、ファンとしてしっかりこの映画を目に焼き付けた、という事実だけ残しておきます。


…ちなみにYahoo映画では、すごく評価が高いんですよ、本作。
何でだろう、みんな本当にスゴイなあ。㿐
posted by tanako at 19:53| Comment(0) | やっぱり邦画がすき。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月20日

直球勝負のラブコメ。[愛のむきだし]

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『愛のむきだし』
製作:2009年・日本
監督:園子温(『自殺サークル』『冷たい熱帯魚』)
脚本:園子温
出演:西島隆弘、満島ひかり 他
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園子温監督作品で、初めて観たのは「自殺サークル」。
当時、まだ耐性のなかった私は、飛び込みシーンで、目が点になりボー然としたのを覚えてます。
第一印象は『悪趣味』でした。
その後、「愛のむきだし」で海外から評価されるまで、割とスルーしてきたのですが、
色々と映画を見ていくうち、エログロに目覚めた(誤解を招く表現だな…。)私は、
「冷たい熱帯魚」「恋の罪」「ヒミズ」と見てきて、
新作鑑賞をはずせない監督として認識し、今に至ります。

「愛のむきだし」もずっと見たかったのだけど、
如何せん上映時間の長さで敬遠してました。
が、宇多さんの批評を聞いてガマンできず、満を持しての鑑賞。

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敬虔なクリスチャンの一家に生まれた青年、角田ユウ(西島隆弘)。
母を早くに亡くし、神父の父テツ(渡部篤郎)と2人暮らしの彼は、
理想の女性“マリア”に出会う日を夢見て満ち足りた毎日を送っていた。
ところが、ある出来事をきっかけに優しかった父はユウに懺悔を強要するようになる。
父の期待に応えねばと、懺悔のための罪作りに励むうち“盗撮”の世界に没入していくユウ。
そんなある日、彼は仲間とのゲームに負けて罰ゲームで女装している最中に
運命の女性ヨーコ(満島ひかり)と出会い、一瞬で恋に落ちるのだったが…。
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上映時間は237分。でも本当にあっという間でした。
今まで見た、園監督のどの映画よりも面白かったし、心臓に響きました。
映画館で見ていたら号泣だったろうなと。そして恐らく2回以上観に行っただろうなと、。
端的に言うけど、私、この映画大好きです!!!。


元々、満島ひかりは好きだし、本作での演技に対する高い評価も頷ける程すばらしかったのですが、
相方も言ってたけど、AAAの西島君がもっと評価されてもいいよねと。事実、素晴らしかったです、本当に。
現役バリバリのアイドルなので、顔が良いのは当然としても、
カッコよくて、美しくて、動きにキレがあって、でも純粋で情けなくて、という
複数要素を併せ持ちながら、且つ難しい役どころを、100%演じ切っていたと思います。
(個人的に"出演作はとりあえず見ておこう"と思える俳優陣に、新たに加わりました。)
ちなみに安藤サクラも、イイ感じに邪魔だし鬱陶しいし、でもそこが良かった。
カオリ役の渡辺真起子さんもすごく存在感があって良かったと思います。


内容としては、タイトル通り"むきだし"になった"愛"の物語です。
ラブストーリーですね、完全に。

初恋の女の子が、偽りの姿の自分に惚れるという、すれ違いの片思いとか、
親の再婚で義理の兄妹になって、ひとつ屋根の下に住むとか、
ラブコメの少女漫画を彷彿とさせる展開。
まずそこに、胸が高鳴りました。(アホだね。)

この映画の登場人物は全員、"愛"に対して純粋で、そして遠慮がないです。
ユウが、ヨーコが、カオリが、テツが発する、それぞれの『愛してる!』という言葉は、
言動は過激なんだけど、どこまでもまっすぐで、包み隠さずに("むきだし"ね。)相手にぶつけるし、
受け入れられない一方通行な状態からスタートしたりしてて、それも切ないんだけど。
でも、それがいい。だってラブストーリーなんだから。
『奇跡まであと一分』というテロップからボレロと共に2人が出会うシーンと、
ユウの『大好きなんだよ…!』という、道路上での悲痛な呟きシーンが、
私の中でのベストシーン。どこまでもラブ目線ですいません。

新興宗教(オウムとか色々騒がれた時期ですし)の描写とか、
バイオレンス(血とか内臓)描写とか、
変態(盗撮その他諸々)描写とか、
題材としてすごく興味深いし、事実、エッセンスとして凄く効いてると思います。
でも私の中では、本作のベースは恋愛。まごうことなき、恋愛映画。
しかもネタバレちゃうけど、ハッピーエンドなの。もう、言うことないんですね。これも私的に(笑)。

加えて、ラブだけではなく、友情描写もこの映画においては結構素晴らしくて、
ユウと不良3人とのお互いに献身的な友情も、スゴく心に響くものがありました。
相方と2人鑑賞中に、『良い友達だな〜。』という感想が何回も出ました。


加えて、これは勝手な解釈なのですが。

キリスト教における「罪」の意味は、恐らくこの映画においては結構重要な部分ではないかなと。
(先に言っておくと、私は宗教関連が、非常にニガテ分野で、
且つ知識も皆無なので、以下適切な表現ではないかもしれませんがご容赦ください。)

仏教では「欲望は捨てるべし」とされているところを、
キリスト教は「欲望」自体を必ずしも否定しておらず、
むしろそれに対して「罪」の方が問題視されるのだそうです。

では、「罪」とは何なのか、と。
「罪」はあくまで神からの目線での判断であり、他人と比較してどうこう、というものではないそうで。
例えばそれは、人間の内側から出てくるもの、とのこと。
「七つの大罪」というのも、それ自体が「罪」ではなく、
「人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情」のことなのだそうです。

(てことは、この物語において、自分が"変態"だ、というユウの認識自体は「罪」ではないけど、
それによって行われる行為そのもの(すなわち盗撮?)は「罪」に当たるってことなのかな?)

更になるほどと思ったのは、「愛のないこと」等も「罪」になるそうで。

「罪」は死をもって裁かれなければいけないそうですが、
ヨーコを拉致したり、教会を襲撃したりしたことがユウの「罪」なのであれば、
"サソリ"になることによって"ユウ"として一度死に、神に裁かれた上で、
最終的にはヨーコからの「愛」によってその「罪」が許されたと考えてもいいかな、と勝手に納得した私。

更に、この解釈にはちょっと自信がないんだけど、
コイケのユウに対する執着も、ある種の歪んだ「愛」かなと思っていて。
(若干、ラブ目線も入ってますが。。。)
自分との共通点を見出し、彼のことを追いかけ、追い詰めていく過程で、
その執着が、"ユウ"の"死"(いや死んではいないんだけど)によって解放され、
「死」をもって裁きを受けた、とも取れるかなと。
(まあ、終始コイケ嫌いだなーと思っていた私にとっての都合良い解釈なのですが。)


奇跡に出会った2人の愛、男同士の友情愛(?)、親子愛、屈折した愛、等々、
回りくどくない直球の愛に溢れた映画だと思います。
その、どストレートな感じが、ものすごく好きでした。


まだ、いまいち考えがまとまらなくて、消化不良感が否めませんが、
(意味とか考え出したらキリなくなりそうだけど、そもそもその頭を持ち合わせていなくて)
そもそもの鑑賞後の衝撃の強さに加え、思い出す度に、映画に対する好き度が上昇してるのです。
あわよくば、過去に見た邦画作品の中でもNo.1なんじゃないかとさえ思ってきてます。

傑作かどうかは個人の嗜好にもよるけれど、
これだけの映画見せられたらそんなのどっちでもいいです。
だって私は好きなんだもん。これも、"むきだし"の「愛」だよね、きっと。
posted by tanako at 20:17| Comment(0) | やっぱり邦画がすき。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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