2013年09月20日

直球勝負のラブコメ。[愛のむきだし]

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『愛のむきだし』
製作:2009年・日本
監督:園子温(『自殺サークル』『冷たい熱帯魚』)
脚本:園子温
出演:西島隆弘、満島ひかり 他
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園子温監督作品で、初めて観たのは「自殺サークル」。
当時、まだ耐性のなかった私は、飛び込みシーンで、目が点になりボー然としたのを覚えてます。
第一印象は『悪趣味』でした。
その後、「愛のむきだし」で海外から評価されるまで、割とスルーしてきたのですが、
色々と映画を見ていくうち、エログロに目覚めた(誤解を招く表現だな…。)私は、
「冷たい熱帯魚」「恋の罪」「ヒミズ」と見てきて、
新作鑑賞をはずせない監督として認識し、今に至ります。

「愛のむきだし」もずっと見たかったのだけど、
如何せん上映時間の長さで敬遠してました。
が、宇多さんの批評を聞いてガマンできず、満を持しての鑑賞。

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敬虔なクリスチャンの一家に生まれた青年、角田ユウ(西島隆弘)。
母を早くに亡くし、神父の父テツ(渡部篤郎)と2人暮らしの彼は、
理想の女性“マリア”に出会う日を夢見て満ち足りた毎日を送っていた。
ところが、ある出来事をきっかけに優しかった父はユウに懺悔を強要するようになる。
父の期待に応えねばと、懺悔のための罪作りに励むうち“盗撮”の世界に没入していくユウ。
そんなある日、彼は仲間とのゲームに負けて罰ゲームで女装している最中に
運命の女性ヨーコ(満島ひかり)と出会い、一瞬で恋に落ちるのだったが…。
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上映時間は237分。でも本当にあっという間でした。
今まで見た、園監督のどの映画よりも面白かったし、心臓に響きました。
映画館で見ていたら号泣だったろうなと。そして恐らく2回以上観に行っただろうなと、。
端的に言うけど、私、この映画大好きです!!!。


元々、満島ひかりは好きだし、本作での演技に対する高い評価も頷ける程すばらしかったのですが、
相方も言ってたけど、AAAの西島君がもっと評価されてもいいよねと。事実、素晴らしかったです、本当に。
現役バリバリのアイドルなので、顔が良いのは当然としても、
カッコよくて、美しくて、動きにキレがあって、でも純粋で情けなくて、という
複数要素を併せ持ちながら、且つ難しい役どころを、100%演じ切っていたと思います。
(個人的に"出演作はとりあえず見ておこう"と思える俳優陣に、新たに加わりました。)
ちなみに安藤サクラも、イイ感じに邪魔だし鬱陶しいし、でもそこが良かった。
カオリ役の渡辺真起子さんもすごく存在感があって良かったと思います。


内容としては、タイトル通り"むきだし"になった"愛"の物語です。
ラブストーリーですね、完全に。

初恋の女の子が、偽りの姿の自分に惚れるという、すれ違いの片思いとか、
親の再婚で義理の兄妹になって、ひとつ屋根の下に住むとか、
ラブコメの少女漫画を彷彿とさせる展開。
まずそこに、胸が高鳴りました。(アホだね。)

この映画の登場人物は全員、"愛"に対して純粋で、そして遠慮がないです。
ユウが、ヨーコが、カオリが、テツが発する、それぞれの『愛してる!』という言葉は、
言動は過激なんだけど、どこまでもまっすぐで、包み隠さずに("むきだし"ね。)相手にぶつけるし、
受け入れられない一方通行な状態からスタートしたりしてて、それも切ないんだけど。
でも、それがいい。だってラブストーリーなんだから。
『奇跡まであと一分』というテロップからボレロと共に2人が出会うシーンと、
ユウの『大好きなんだよ…!』という、道路上での悲痛な呟きシーンが、
私の中でのベストシーン。どこまでもラブ目線ですいません。

新興宗教(オウムとか色々騒がれた時期ですし)の描写とか、
バイオレンス(血とか内臓)描写とか、
変態(盗撮その他諸々)描写とか、
題材としてすごく興味深いし、事実、エッセンスとして凄く効いてると思います。
でも私の中では、本作のベースは恋愛。まごうことなき、恋愛映画。
しかもネタバレちゃうけど、ハッピーエンドなの。もう、言うことないんですね。これも私的に(笑)。

加えて、ラブだけではなく、友情描写もこの映画においては結構素晴らしくて、
ユウと不良3人とのお互いに献身的な友情も、スゴく心に響くものがありました。
相方と2人鑑賞中に、『良い友達だな〜。』という感想が何回も出ました。


加えて、これは勝手な解釈なのですが。

キリスト教における「罪」の意味は、恐らくこの映画においては結構重要な部分ではないかなと。
(先に言っておくと、私は宗教関連が、非常にニガテ分野で、
且つ知識も皆無なので、以下適切な表現ではないかもしれませんがご容赦ください。)

仏教では「欲望は捨てるべし」とされているところを、
キリスト教は「欲望」自体を必ずしも否定しておらず、
むしろそれに対して「罪」の方が問題視されるのだそうです。

では、「罪」とは何なのか、と。
「罪」はあくまで神からの目線での判断であり、他人と比較してどうこう、というものではないそうで。
例えばそれは、人間の内側から出てくるもの、とのこと。
「七つの大罪」というのも、それ自体が「罪」ではなく、
「人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情」のことなのだそうです。

(てことは、この物語において、自分が"変態"だ、というユウの認識自体は「罪」ではないけど、
それによって行われる行為そのもの(すなわち盗撮?)は「罪」に当たるってことなのかな?)

更になるほどと思ったのは、「愛のないこと」等も「罪」になるそうで。

「罪」は死をもって裁かれなければいけないそうですが、
ヨーコを拉致したり、教会を襲撃したりしたことがユウの「罪」なのであれば、
"サソリ"になることによって"ユウ"として一度死に、神に裁かれた上で、
最終的にはヨーコからの「愛」によってその「罪」が許されたと考えてもいいかな、と勝手に納得した私。

更に、この解釈にはちょっと自信がないんだけど、
コイケのユウに対する執着も、ある種の歪んだ「愛」かなと思っていて。
(若干、ラブ目線も入ってますが。。。)
自分との共通点を見出し、彼のことを追いかけ、追い詰めていく過程で、
その執着が、"ユウ"の"死"(いや死んではいないんだけど)によって解放され、
「死」をもって裁きを受けた、とも取れるかなと。
(まあ、終始コイケ嫌いだなーと思っていた私にとっての都合良い解釈なのですが。)


奇跡に出会った2人の愛、男同士の友情愛(?)、親子愛、屈折した愛、等々、
回りくどくない直球の愛に溢れた映画だと思います。
その、どストレートな感じが、ものすごく好きでした。


まだ、いまいち考えがまとまらなくて、消化不良感が否めませんが、
(意味とか考え出したらキリなくなりそうだけど、そもそもその頭を持ち合わせていなくて)
そもそもの鑑賞後の衝撃の強さに加え、思い出す度に、映画に対する好き度が上昇してるのです。
あわよくば、過去に見た邦画作品の中でもNo.1なんじゃないかとさえ思ってきてます。

傑作かどうかは個人の嗜好にもよるけれど、
これだけの映画見せられたらそんなのどっちでもいいです。
だって私は好きなんだもん。これも、"むきだし"の「愛」だよね、きっと。
posted by tanako at 20:17| Comment(0) | やっぱり邦画がすき。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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