2013年10月07日

小さくない、悪戯。[小さな悪の華]

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『小さな悪の華』
製作:1970年・フランス
監督:ジョエル・セリア
脚本:ジョエル・セリア
出演:カトリーヌ・ヴァジュネール、ジャンヌ・グーピル 他
【公開時コピー】
「地獄でも、天国でもいい、未知の世界が見たいの!
悪の楽しさにしびれ 罪を生きがいにし 15才の少女ふたりは 身体に火をつけた」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『悪の華』というマンガがあります。
これと同じく、ボードレールの詩集『悪の華』から邦題をつけたと思われますが、
原題は『Mais ne nous delivrez pas du mal』で『悪から救わないで』というような意味のようです。
(翻訳サイトいくつか比較したんだけど、全部意味がしっくり来ず。違ったらすみません。)

モチーフとなったのは、女流作家アン・ペリーが起こした過去の殺人事件だそうで、
こちらはピーター・ジャクソン監督で『乙女の祈り』として製作されてます。
一緒に借りたのでこっちも観たいのだけど、取り急ぎ、町山さんの本で読んだ本作からの鑑賞。

------------------------------------------------------------------------
15歳の少女、黒髪のアンヌとブロンドのロールが主人公。
寄宿学校に通う二人はバカンスを利用し、
盗みや放火、また牧童を誘惑したり庭番の小鳥を殺害したり、
悪魔崇拝儀式を取り行うなどの残酷な行為を繰り返していた。
やがて二人の行為はエスカレートし、死の危険を孕んだ破滅的な終局へ向かっていく。
------------------------------------------------------------------------


2人の少女の危うい関係が描かれていますが、
どちらかと言うと、お互いへの思慕や恋愛感情よりも、
思春期の少女達がする大人ぶった遊び、そしてその延長線上に起こる悲劇、という印象。

『乙女の祈り』はまだ観ていないのだけど、そちらのあらすじと
アン・ペリーの殺人事件の概要を読んだ限りでは、そこが少し違うかな、と思った点です。
1970年のフランスでは、同性愛的な描写がアウトだったんでしょうか。
自国では上映禁止(製作国なのに…)、日本とアメリカでは上映されたそうです。


本作では、思春期の悪戯が、徐々にエスカレートします。
それは、彼女達から見れば、気に入らないからちょっと懲らしめてやろう的な、
どちらかと言うと、罪悪感の薄い行為です。

嫌いな寄宿舎の先生の同性愛をチクったり。
使用人の飼っている小鳥を殺したり。
襲われそうになった羊飼いの男性の家に放火したり。
最終的には、車が故障した旅行者男性を家に招きいれ、誘惑に乗ってきた途端に殺したり。
まあ、何というか、悪戯が過ぎた立派な犯罪行為です。

(ちなみに、"襲われそうに"の描写が結構生々しいです。だからダメだったのかな。余談。)

本作において、語られるのは思春期ゆえの危なっかしさではありますが、
私は、その主導権が黒髪のアンヌにあることで、
ある種、盲目的な巻き込まれ事故のようにも見えました。

起こした事件は全て、人目を惹く美少女であるロールを利用しているので、
大人たちを翻弄してするのはロールなのだけど、首謀者である悪女はアンヌの方かなと。
なので、結局のところ、アンヌの"何てつまらない日常!"という鬱憤が、
ロールの存在によって解消されたことに味を占めて、
単なる遊びだったはずのいたずらを、どんどんエスカレートさせたのかなと。
そう考えると、ロールはアホの子で、ただただ、盲目的にアンヌを好きだし、
主従的な関係こそ見えないものの、いいように使われているように見えました。主に体をね。

まあ、思春期の女子って、多かれ少なかれ、上下関係はきっとあるものだよね。
それをそれとして認識してないだけで。
その危うさも思春期の描写として、効果的だなと思いました。

最後の事件が露呈したとき、アンヌとロールは、
お互いが引き離されることを嫌がり(ここでも罪悪感じゃなく)、とある暴挙に出ます。
このシーンが、まあクライマックスで、衝撃的な展開だと思います。

学芸会の日。2人は詩の朗読を出し物として、舞台上に上がります。
そして朗読が始まるのですが、その内容は多分、
決して健全な少年少女が読み上げて微笑ましいものではなかったかなと。
(ゴメンナサイ。私はアホなので理解できませんでした。)

ただ、それを『可愛いわね〜。』とか言いながら見ている保護者達の描写は興味深かった。
舞台と観客席で、圧倒的に明確な区切りがあるんですよね。
舞台上で読み上げられている詩の意味は少女達の主張。悲痛な叫び。
そしてそれを聞きもせず、天使姿の衣装だけ見て満足している大人たち。
天使達が自ら行った土壇場の幕引き劇は、その境界を壊そうとする行動だったとも取れるかなと。

暗喩、とまではいかないかもしれないけれど、
低予算でチープな映像の中でも、考察すると色々と意味があるような気がして、
これはこれで面白かったかな、と思いました。


"思春期の少年少女"は非常に危うくて、
故に、ドラマチックにもなり得るので、題材となる作品は多い気がするし、個人的にも好きです。
発想が短絡的かつ極端で、善悪の区別がつかない。
罪の意識もないまま、深く考えずに突き進んでしまうその姿に、
昔も今も、大人たちは振り回されてしまうのだろうと思います。

とはいえ、危うさも度が過ぎると、自分とは別世界の人間として、
こうならなくて良かった、とも思えるような反面教師的な作品もあります。
本作はそっちだね。

悪戯も思い込みも程々に、平和が一番ですね。

観てから時間が経ったのと、観終わった後の感想として、
あまり印象に残らなかったので、無理矢理まとめました。
…フランス映画ニガテだなあ、私。

題材と過激描写に興味がある方は、過度に期待せずにどうぞ。
posted by tanako at 19:16| Comment(0) | クラシック洋画キャンペーン。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。