2016年11月15日

温故知新。[クリード チャンプを継ぐ男]


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『クリード チャンプを継ぐ男』
製作:2015年・アメリカ
監督・脚本:ライアン・クーグラー
脚本:アーロン・コヴィントン
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルヴェスター・スタローン、他
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突飛、斬新、衝撃的、目新しい、etc…

映画を観初めて、単館ものを好んでいた若き日の私は、
上記の類の作品を好むことが多く、
古き良き、クラシックな良作を結構スルーしていました。

その中でも、敬遠していた「ロッキー」。

スタローンとシュワルツェネッガーとヴァンダムは、
何を見ても一緒だ、と、何かで読んだのを鵜呑みにしていましたが、
映画をたくさん観るようになって、
製作者としての在り方は、スタローンだけ異なる印象を持ちました。

「ロッキー」シリーズは、何と「ファイナル」から観たという
非礼にも程がある私が、
分かっていても熱くなる、という不思議な感覚のを体感しました。

年とったせいですかね。
でも、悪くないです。

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ボクシングのヘビー級チャンピオンであった
アポロ・クリードの息子、アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)。
さまざまな伝説を残したアポロだが、彼が亡くなった後に生まれたために
アドニスはそうした偉業を知らない上に、父との思い出もなかった。
それでもアドニスには、アポロから受け継いだボクシングの才能があった。
そして父のライバルで親友だった
ロッキー(シルヴェスター・スタローン)を訪ねて
トレーナーになってほしいと申し出る。
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私は、過去作に疎い分、各登場人物に思い入れはないですが、
隣で観ていた相方は、全シリーズ観ている分、
あのキャラは今、的な楽しみ方をしていて、何だか羨ましかったです。

恐らく、本作は彼のような観客を主なターゲットとしている
究極のファン・ムービーだと思います。

現役の時、ライバルと謳われた相手の息子・アドニス。
自分の息子が、同じ道を進まなかったことを、
理解しつつも寂しく感じていたであろうロッキーの、新たな光。
最初はトレーナーの依頼を断るも、少しずつ火がつき、心を開き、家族同然になっていく過程は、
王道ではありますが、微笑ましいし、非常に感動的です。

それと、これはロッキーシリーズの特徴らしいのですが、
悪い人が、(ほとんど)おらず、周りが皆良いヤツで、
そのおかげで、物語の展開を邪魔しない。
※ほとんど、と書いたのは、個人的には、幼馴染みという人が、良いヤツに思えなかったからです。

加えて、アドニスが、物凄くストレートで、且つ素直。
しかも賢いし、スマート。フェミニストであり親思い。極め付けは、イケメンときてる。
なんなの、もう。言うこと無いじゃないですか。


シリーズに関して語れる知識が、私には無いのが悔やまれますが、
ストーリー運びは、極めてスタンダードですが、
そこかしこに、旧作のエッセンスを入れることで
新しくも、回顧的になっているようです。

例えば。

旧作ほとんど見たことない私でも知っている、
ロッキーのトレーニングシーンや、ランニングシーンは、
やっていることを、ほとんどなぞっているようでいながら、
且つ、新しい要素(ウィリーで並走するバイクとか。)も入れている。
恐らく、私が知らないだけで、他にも色々とあるのだと思います。

更に。
今回は、アドニスが対戦相手と戦うのと同時に、
年老いたロッキーが、病気を相手に戦うのですが、
立ち向かう2人の姿勢、さらに、昔戦っていたロッキーの姿ともリンクして、
長い時間を超えて戦う男たちの姿が、非常に頼もしく、美しいです。

最後のシーンでも、相方が教えてくれましたが、
現役の頃にやすやすと駆け上がっていた階段を
年老いたロッキーが、一段一段、しんどそうに上る様に、
ひとつの時代が終わりに向かっていることの寂しさを感じるけれど、
てっぺんから見る太陽の光が、新時代の幕開けも表している。

何というか、1つ1つのシーンが、
「ロッキー」を好きな人達が、
「ロッキー」を好きな人達のために、
想いを込めて撮ったような、そんな映画でした。


王道をなぞるも古臭くならず、
新時代への希望的要素も含んだ、バランスの良い傑作です。
予想外の展開は何ひとつ起こらないのに、
気を抜くと泣きそうでした。

古きを温め、新しくを知る。

まさしく本作のためにあるような言葉ですね。


シリーズ全作も、
ちょっとずつ、観てみようかと思います。
posted by tanako at 00:20| Comment(0) | それでも洋画には勝てない。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月02日

カマクラブルー。[海街diary]

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『海街diary』
製作:2015年・日本
監督・脚本:是枝裕和
出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、他
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実写化速報が出て、焦って読んだ原作が、
思いの外、ものすごく良かったので、
旧作落ちを待たずに、レンタル

原作がとても好きで、
且つ読んで間もないこともあり、
比較しつつのレビューになり申し訳ないですが、
それでも、批判的な要素は余り見当たりませんでした

強いて言うなれば、
あんな美人姉妹、いないよね、ということくらい。笑。

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鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。
そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。
葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、
そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。
身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、
気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、
彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。
こうして鎌倉での生活がスタートするが……。
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是枝監督の作品を久々に観て気づきました。
(「そして父になる」もまだ観れてない・・・

本作のように、モノローグが一切無い映画が、
昨今、少なくなっていること

原作もの、とりわけ漫画作品が増えているからかもしれないけれど、
登場人物の言葉やセリフで、その心情を観客に伝える作品が増えていて、
且つ、それに慣れてしまっているなと

必要不可欠な場面もあるとは思うけれど、
せっかく目に映る情景があるのなら、
それをフルに使って伝えるのが、映像の強みだと思うと、
極力モノローグ(とりわけ説明)は、使わない作品の方が、
個人的には、好みなのです。

本作は、原作を知っているので、
原作には多数入っているモノローグを省いた上で、
登場人物の感情を、最大限伝える努力をしているところが好きです。

加えて。

白黒の2次元で伝わり切らない鎌倉の風景を、
原作のイメージを損なわずに、
その魅力をスクリーンに映し出すことに成功しています。

是枝監督の作り出す作品の空気感や雰囲気と、
原作の持つものが合致した結果でしょう。
久々に、ああ、このマッチングは成功だなと、冒頭で感じました。

物語の展開も、原作のストーリーを無理なく省き、
主題を見失わずに、2時間に綺麗にまとめられているし、
言葉は多くないけれど、観客にはきちんと伝わる。
やはり、上手いなあ、と思いました。

ちなみに、鎌倉、という土地は、
地方出身者にも、都会育ちの人にも、
程々の共感を与えてくれる、絶妙な立地ですね。
原作で観た風景に色が付くって良いなあ、と、
桜のトンネルを見て実感しました。


キャスティングも、美人姉妹過ぎますが、
年代的に考えて、無理なく適材を選んでいる印象。

長女・幸の綾瀬はるかは、強いけれど儚い、
そしてちょっとだけ幸薄い感じがよく出ていたし、
次女・佳乃の長澤まさみは、こういう現代女子の役がよく似合う。
程よく垢抜けていて、程よく適当だけど、芯が強い感じが上手い。
三女・千佳の夏帆は、「ピンクとグレー」を観た直後なので、
上手いのは当然として、存在感が薄れがちな三番目の個性を
原作ではアフロだけど、アフロにしなくてもちゃんと出せているし、
四女・すずの広瀬すずは、その透明感がピカイチで、
周りの目を引く美少女という点でも文句ない。
ただ、ちょっと垢抜けているので、地方の中学生感が少し足りないけど、
控え目にセリフを発する姿は、非常に頑張っているように見えた。

いずれも旬な、且つ適任な女優さんを
上手く選んだなと思いました。
ちなみに個人的には、ハマってた、という意味で、
長澤まさみが一番良かったと思います。

その他の面々も、俳優陣の選び方が秀逸。

課長役の加瀬亮とか、
小児科医役の堤真一とか、
コーチ役の鈴木亮平とか、
マスター役のリリー・フランキーとか(キャラ改変はさておき)。
四姉妹に寄り添う優しい雰囲気の男性陣然り。

食堂のおばちゃんの風吹ジュンとか、
大伯母さんの樹木希林とか、
お母さんの大竹しのぶとか、
個性的で、どこか憎めない雰囲気の女性陣然り。

この人はどうなのか、という人が1人もおらず。
中々、凄いよなあ、と思います。


原作ファンの心を理解した上で、誠意をもって映像化した、
稀有な成功例となる映画作品です。

原作読んだ時期的に、どうしても比較目線に偏ってしまいましたが、
おそらく、1本の映画作品としても秀作だと思います。
興味がある方は、原作も是非。
後で読んでも楽しめるかと思いますので。

恐らく、3/4(金)に発表される日本アカデミー賞、獲るのでは。
そんな期待も込めて。
posted by tanako at 23:49| Comment(0) | やっぱり邦画がすき。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月01日

いいぞ、もっとやれ。[ジョン・ウィック]

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『ジョン・ウィック』
製作:2014年・アメリカ
製作総指揮:キアヌ・リーブス
監督:チャド・スタエルスキ
脚本:デレク・コルスタッド
出演:キアヌ・リーブス、ウィレム・デフォー、ミカエル・ニクヴィスト、他
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個人的「見逃した映画」鑑賞会、続行中。
これ、映画館で観たかった・・・。本当に観たかったよ・・・。

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伝説的な暗殺者として裏社会にその名をとどろかせるも、
殺しの仕事から手を引いたジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。
暴力から遠く慣れた毎日に安らぎを覚えていた彼だったが、
それをロシアン・マフィアによって奪われる。
怒りと憎しみに支配された彼は、封印していた殺しのスキルをよみがえらせ、
ロシアン・マフィアへのリベンジを果たすことを決意し……。
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あらすじだけ見ると、私が毎度引き合いに出す、
韓国映画の名作「悪魔を見た」を彷彿とさせます。

実際、ちょっと似てます。

愛する人、もしくはその忘れ形見を奪われて、
復讐に走る、滅茶苦茶に強い(重要)男の話。

どちらも私は好きですが、
「悪魔を見た」は、対峙する"悪"が重過ぎるのに対し、
本作は"悪"が、わりと小物です。

だが、それがいい。

"怒らせたらヤバイ"感は、ビョン様もキアヌも同様なのですが、
ビョン様がどんどん深みにはまっていくのに対し、
キアヌは非常にスマートで、且つ淡々としています。
恨みの深さは同じくらいなのだけど、
サスペンスとコメディ、くらいの温度差。

ちなみに、私はどっちもかなり好みなのですが、
ポップコーン片手に見る娯楽作として、
「ジョン・ウィック」の方が、多くの人に好まれるとは思います。


キアヌ演じるジョンが、
亡くなったばかりの妻が残してくれた子犬と共に、
人生をやり直そうとした矢先(もうね、ほんとに矢先ですよ。)、
奪われる、子犬の命。

まずね、びっくりする程、この子犬が可愛いんですよ。

2日しか一緒に居なかったはずのキアヌの思い入れとか、
愛する妻を失ったことと重ねての悲しみとか、
そういうのひっくるめて怒りに変えて『マジあいつ殺す。』というテンションも、
子犬の可愛さだけで、他の説明は一切不要。

だが、それがいい。(2回目)

更に良いのは、脇役面々。
キアヌを怒らせたことへの、焦り方。

別に全員がオロオロしてるわけじゃないんだけど、
『アイツを怒らせたらヤバイ。』という焦燥感を、
各々の立場で、ちゃんと表現しているのが良い。

キアヌに味方する人、
とにかく逃げる人、
怯えながらも、立場上敵対してみる人、
様々ですが、一貫してみんな『アイツはヤバイ。』と感じてる感が伝わり、
ともすればコメディ的な視点でも、非常に面白いです。
相方と私は、終始爆笑していました。

ちなみに。

正直、アクション映画での、こういう"笑っちゃう"要素って
B級になりそうな危うさもありつつ、
でも、観客を満足させる要素の1つでもあると思うのですよ。
アクションとか、残虐描写が凄過ぎて、笑っちゃうこと、
私はよくあるんですが、本作も然りでした。
スタッフも完全に分かってやっていると思うなあ。

だが、それがいい(3回目)。潔いです。

それと、キアヌ演じるジョンには、
人物設定と背景に加えて、周囲の人々の協力体制があるので、
ピンチらしいピンチが無いのですが、
ストーリー展開にストレスなく入れるし、
話がサクサク進むから、テンポも良いので、
個人的には、これもかなり良い要素の1つでした。


ちなみに、今更ですが。
キアヌのアクションは、言わずもがな素晴らしかったです。
ガンアクションも美しいし、
体術もキレがあって、力強い。

顔はスマートイケメンなのに、アクションは肉体派なキアヌ。
ハリウッドのゴシップ記事では、何だかダメ人間扱いされてるのをよく見るので、
こういう、超絶カッコ良いキアヌを見ると、勝手ながら安心しますね。



世間の人々が、
『「怒りのデス・ロード」SUGEEEEEEーーーーー!!!!』
みたいなテンションで盛り上がっている中、
『「ジョン・ウィック」ヤバーーーーーイ!!!!!!!!』
と、DVDで盛り上がれる私は、ある意味幸せかも。
スマートな感想書きたかったんだけど情熱冷めやらず、こんな感じでスミマセン。

勿論、個人の好みの問題だと思うので、
どちらが優れているとかの話ではないですが、
オススメを聞かれたら、私は迷わず「ジョン・ウィック」です。

posted by tanako at 23:43| Comment(0) | それでも洋画には勝てない。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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